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長友啓典 審査委員長 総評
審査を終えて感じたことは、東日本大震災後の節電への呼びかけが、ポスターを考える子どもたちを悩ませたのではないかということです。節電をテーマにしたポスターを描きたいけれど、すぐやろうとしてもとても難しいという思いが作品を通して伝わってきました。
説得力のある作品とは、発想と絵が一致していることが一番大切です。上位の子どもたちの作品には、審査委員の人の評価と私の評価が一致したものが数多くありました。発想と表現力が単純明快に理解できるからです。
審査を担当させていただきまして、子どもたちの発想力と表現力に大きな刺激を受けました。これからも、心新たに仕事をしていきたいと思います。

◆ 受賞作品

名前:坂本絹太郎

都道府県:東京都

学校名:大島町立つばき小学校6年

-審査委員長講評-
合戦のかがり火をあかりとして表現した発想が優れています。あかりの日の10月21日が、日本の歴史上の有名な合戦と関係があればなお面白かったですね※。この作品に描かれていることは、電気ができる前の話なのですが、あかりの大切さがよく伝わってきます。武士たちが勢ぞろいしているところのかがり火が、パチパチと音を立てている様子までわかるような表現力に感心しました。絵が圧倒的に上手ですね。東日本大震災後に節電がいわれていますが、あかりが人を元気にするということもこのポスターは語っています。
※関が原の戦いは、西暦1600年10月21日に行われました。


名前:鈴木絵

都道府県:北海道

学校名:上富良野町立上富良野西小学校6年

-審査委員長講評-
いかにもポスター的な発想で、熱気球が電球になっています。星空の中を家族みんなでワーッと飛んでいく。そんな一家団欒を夢見ながら、家族みんなの気持ちがひとつになっています。あかりは、人を元気づけ、やさしさも与えてくれるものだということをよく表しています。作者の夢が伝わってくるポスターですね。


名前:長沼澪

都道府県:千葉県

学校名:習志野市立谷津南小学校4年

-審査委員長講評-
自分の机の上で、あかりはどのようなものなのかを観察して表現しています。構図も素晴らしいです。とまり木にとまっている小鳥。「鳥」と「歴史」というタイトルがある2冊の本。1個電球が何気なく転がっているけど、換えの電球かな。あかりのなかに鳥がいることで和やかになり、ぬくもりのあるやさしいポスターになりました。


名前:伊澤礁太

都道府県:千葉県

学校名:習志野市立谷津南小学校6年

-審査委員長講評-
とても影を大事に表現していますね。「10月21日はあかりの日」という文字にヘッドライトがあたると、文字の影が出ます。それがポスター全体の印象と訴求力を強くしています。横断歩道や車などの遠近法はばらばらですが、全体の中で妙に一致している印象を与えます。子どもの絵は、これだから面白いのです。


名前:轟慎太郎

都道府県:東京都

学校名:大島町立つばき小学校4年

-審査委員長講評-
「でんきとこころのあかりたいせつに」という標語を入れて、あかりに対する自分の気持ちを表現しています。いろんな電気を使っている地球上の子どもたちを「でんきとこころのあかりたいせつに」という標語で結びつけています。世界平和を実現しようという意気込みも感じることができる社会派的な発想のポスターですね。


名前:知念優菜

都道府県:神奈川県

学校名:横浜市立入船小学校1年

-審査委員長講評-
あかりの「光」と「影」を単純明快に表現しています。切り絵という技法がさらにそれをはっきりとさせています。とても上手です。あかりの光の部分と影の部分をコピーしてひっくり返すのではなく、ちゃんと描いているから面白い作品になったのです。色の配色も実にシンプルです。単純明快に描いたよい作品の典型といえます。


名前:千葉万由子

都道府県:神奈川県

学校名:川崎市立向丘小学校3年

-審査委員長講評-
この作品の面白いところは、鏡の反転により、文字も電球もまわりのマンションも反射するということを頭に入れて描いたことです。大人なら左右を合わせてなぞっていくのですが、この作者はちゃんと描いています。だから左右のバランスが合っていないのですが、それがすごくいい味になっています。


名前:佐藤渉

都道府県:神奈川県

学校名:横浜市立希望ヶ丘小学校6年

-審査委員長講評-
用紙全体に黄色を引き、その上に黒を引いて手で引っかくことで、下の黄色が画面に出てくるという表現技法です。昔からあったものですが、この作者がこれを見つけたことに驚きを感じます。手で描いているうちに星を入れてみよう、電球を描いてみようという発想がでてきます。それが手で書いているよさなのですね。


名前:永井友樹

都道府県:兵庫県

学校名:宝塚市立宝塚第1小学校4年

-審査委員長講評-
深海のくらやみを照らすあかりに、ちょうちんアンコウの電球をもってきたという発想に驚かされました。電気のまわりの魚は元気ですが、電気が届かない底で寝ている魚は元気がないという観察眼も優れています。あかりは生き物も元気にするということを伝えたかったのだと思います。


名前:中井祐亜

都道府県:徳島県

学校名:徳島市立千松小学校3年

-審査委員長講評-
電球1個1個をキャラクター化し、それぞれに表情をもたせています。あかりにも色々な表情があるのだということをこの作品は伝えたいのだと思います。また、ひとつのあかりを見ても、感じ方は人それぞれ違うことも伝わってきます。キャラクターの描き方がとても大胆で、ポスター全体からパワーを感じることができます。


名前:土橋未優菜

都道府県:徳島県

学校名:徳島市立佐古小学校5年

-審査委員長講評-
現代の子どもの発想だと思うのですが、マンションなどの窓のあかりを子どもの感性で観察しています。微妙に電気が消えていたり、薄明かりだったりして、窓からの光が幸福感を感じさせてくれたりします。じっと見ていると、どこかへ出かけているのかなと想像したり、節電しているのかなと考えたり、それぞれの家族の物語が感じ取れるポスターです。


審査委員長 長友啓典

長友啓典 (Keisuke Nagatomo)
グラフィックデザイナー
1939年
大阪に生まれ。
1961年
桑沢デザイン研究所卒業・
日本デザインセンター入社
1966年
日宣美賞受賞
1969年
黒田征太郎とK2 設立
1973年
東京アートディレクターズ
クラブ賞受賞
1974年
ワルシャワポスタービエンナーレ銅賞
1982年
K2 文化の金字塔
(東京・大阪)
1983年
「まっかなホント」黒田征太郎と共著(講談社)
1984年
講談社出版文化賞さしえ賞受賞
・ニューヨーク近代美術館
ポスターコレクション
1990年
コレクションから選んだ最近の日本のポスター展
(ニューヨーク近代美術館)
1992年
「ともかく挿絵展」
(東京デザイナーズスペース)
1993年
青葉益輝・浅葉克己両氏と「○△□アートディレクターの発想・現場・定着」出版
(メディアファクトリー)
1996年
大阪府立天王寺高校100周年
記念100点ポスター制作
2001年
第22回日本宣伝賞山名賞受賞
2006年
第37回 講談社出版文化賞
【 ブックデザイン賞 】受賞

エディトリアル、各種広告、及びイベント会場構成のアートディレクターとして、また小説のさし絵、雑誌にエッセイ連載など、現在に至る。

・日本工学院専門学校
 グラフィックデザイン科顧問
・東京造形大学客員教授

社団法人日本電球工業会
「あかりの日」実行委員会
TEL(03)5812-1271
FAX(03)5812-1272